70歳以上になると、運転免許を更新するには「高齢者講習」が必要になります。
この講習は、安全に運転を続けるために、自身の体や感覚の変化を確認する大切な時間です。
さらに、75歳を迎えた方には「認知機能検査」も加わり、記憶力や判断力といった運転に関わる能力をチェックされます。
いくら運転に自信があっても、加齢による変化は自覚しづらいもの。
講習を受けることで、自分では気づきにくい視力や反応の低下、夜間の見えづらさなどに改めて気づける機会となります。
また、ゴールド免許を持っていても、70歳を超えると更新の有効期間は5年から3年に短縮されます。
これは安全への配慮から決まっている制度で、3年ごとに再確認することで、安心してハンドルを握り続けられるようになります。
自分の命はもちろん、周囲の安全を守るためにも、高齢者講習は非常に重要なステップと言えます。
講習のお知らせはいつ届く?

70歳を迎えると、運転免許の更新に向けて「高齢者講習」の案内が郵送されてきます。
このハガキは、免許の更新期間が満了するおよそ6ヶ月前に届くようになっています。
たとえば、誕生日が12月3日の方であれば、更新期間は11月3日から1月3日までの間になります。
そのため、講習を受けられる期間は7月3日から翌年1月3日までとなり、通知はだいたい6月下旬には手元に届くことが多いです。
このハガキには、講習の受講期限や有効期間が記載されているので、内容をしっかり読んでおくことが大切です。
講習の予約は、受講可能期間が始まる前でもできる教習所もあるため、届いたその日から動き始めるのが安心です。
特に人気のある教習所はすぐに予約が埋まってしまう傾向があります。
遅れると希望の日時や場所で受講できず、遠方の教習所に行かなくてはならないことも。
「まだ余裕があるから」と思って先延ばしにせず、早めの行動がスムーズな免許更新への第一歩になります。
予約を後回しにすると、どうなる?
高齢者講習の通知が届いたら、「時間はまだあるし、ゆっくり考えよう」と思ってしまうかもしれません。
ですが、これが落とし穴になります。
受講期間は半年ほどありますが、油断していると、あっという間に予約枠が埋まってしまうのが現実です。
実際に私も、最初の講習の時はギリギリまで動かず、友人に「そろそろ予約しないと取れないよ」と言われてから慌てて電話しました。
そのときは、なんとか1ヶ月後に滑り込めましたが、時期や地域によっては2〜3ヶ月待ちということも珍しくありません。
中には近所の教習所がすでにいっぱいで、片道1時間以上かけて遠方まで出かけることになった方もいます。
さらに75歳以上の方は、認知機能検査も事前に受けなければならず、そのぶん手続きにも時間がかかります。
予約が遅れれば遅れるほど、免許の更新期限に間に合わないリスクが高まります。
最悪の場合、更新できずに運転免許が失効してしまうケースもあるのです。
通知が届いたその日が予約のスタート地点。
できるだけ早く行動を起こすことが、安心とスムーズな手続きを生むカギになります。
高齢者講習って、何をするの?

高齢者講習では、まず座学と検査を通じて、自分の運転能力について確認を行います。
私が受講した際には、午後の時間帯で2時間の講習が行われました。
最初に行われたのは講義形式の座学で、内容は大きく2つのテーマに分かれていました。
ひとつは、加齢による視覚や動作の変化についての理解を深めるもので、視力の低下、動くものへの反応力、夜間の見えにくさ、まぶしさへの順応など、運転に影響を与える要素がわかりやすく説明されました。
もうひとつは、認知機能検査と高齢者講習の位置づけについての説明です。
75歳以上になると、まず認知機能検査を受けてから講習に進む流れになります。
講義では実際に配布された教材を使って、重要なポイントだけがしっかり取り上げられ、無理なく学べる構成になっていました。
講習のあとは、静止視力や動体視力、視野の測定といった簡単な検査も行われます。
これらの検査結果はあくまで参考資料ですが、自分の視覚能力の現状を客観的に知る機会になります。
難しい内容ではないので、身構える必要はありません。
安心して受けられる内容です。
実技講習の内容とは?

高齢者講習の後半では、実際に車を運転する実技講習が行われます。
教習所のコースを使って、教官の指示に従いながら10分ほど運転する流れです。
以前は、3人1組で交代しながら車に乗り込む形式だったこともありますが、最近では1人ずつ個別に運転するスタイルが主流になっています。
運転する内容は、S字カーブやクランクなど、普段の運転ではあまり意識しないような難所も含まれており、緊張する場面もあるかもしれません。
ですが、講習は試験ではないので、減点されることはなく、安心して取り組むことができます。
2022年5月からの制度改正で追加された「縁石に乗ってすぐ停車する」課題も体験しました。
これは高齢者に多い、ブレーキとアクセルの踏み間違いを防ぐための練習です。
さらに、交差点での一時停止や標識の確認、信号遵守、カーブでの減速など、日常的な運転の基本がきちんと身についているかも見られます。
中には、自信がないと話していた方もいましたが、教官はやさしく声をかけてくれるので心配はいりません。
安全に運転することの大切さを、実際の運転を通して再確認できる時間になります。
終わったらどうする?

すべての講習が終わると、最後に「高齢者講習修了証明書」が手渡されます。
この証明書は、運転免許の更新を行う際に必ず必要な書類なので、なくさないように大切に保管しておきましょう。
免許センターや警察署での更新手続きのときに提出を求められます。
講習そのものは約2時間で終了し、無事に証明書を受け取れば、ひと安心です。
全体を通して感じたのは、思っていたよりもリラックスした雰囲気の中で進むということ。
教官やスタッフの方々も親切に対応してくれるので、初めてでも緊張せずに受けられました。
受講後には、運転に関する意識も自然と高まり、普段の運転を見直す良いきっかけにもなります。
まとめ
高齢者講習は、運転免許の更新をする上で欠かせない大切なステップです。
通知が届いたら、「まだ先の話」と思わず、なるべく早めに予約を入れることが大切になります。
特に75歳以上の方は、認知機能検査もセットになるため、余裕を持ったスケジュール調整が必要です。
講習では、加齢による視覚の変化や、認知機能との関わりなど、安全運転に欠かせない知識を改めて学ぶことができます。
実技では、日頃の運転では気づきにくいクセや注意点も浮き彫りになります。
「試験ではない」という安心感のなかで、自分の運転を見直すきっかけになるでしょう。
受講後に渡される修了証明書は、免許更新に絶対必要な書類ですので、更新日までしっかり保管しておいてください。
3年後の更新時に慌てないように、今回の経験をしっかり活かしていきましょう。